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「チーム創生・システムコーチング」

2011年6月19日(日)、さいたま市大宮区において、2011年6月定例セミナーを開催しました。

今回のセミナーは、群馬チャプター所属で群馬県内を中心に精力的に活動されている鈴木結子(すずきゆいこ)氏を講師に、『システム・コーチング』を取り扱いました。

システム・コーチングとは聞き慣れない言葉ですが、通常のコーチングが『人』を扱うならば、システム・コーチングは人と人との関係性を扱います。2人以上の複数人からなるチームそのものを『生き物=システム』ととらえ、そのシステムに対してコーチングを行っていく概念です。コーチングにはチームとしての成果達成を扱う『グループ・コーチング』がありますが、これも複数人ではあるものの『人』を扱っており、生きた人間関係という『システム』を扱うシステム・コーチングとは微妙にニュアンスの違いがあります。

さてシステム・コーチングには、1)システムがクライアントである 2)システムはもともと完全な存在で自ら答えを見つける力を持っている 3)システム全体を扱う 4)システム全体が明らかになるよう支援する と、4つの礎が前提で組み立てられています。コーチはこの礎を念頭に置きながらシステムに働きかけていくわけですが、そのためには7つのメタスキルが必須とされています。

すなわち、

  • 思いやり
  • ディープ・デモクラシー
  • 遊び心
  • 尊重
  • 協力・パートナーシップ
  • 好奇心・気づき
  • 本気

という、態度や姿勢、哲学といったものです。

特に『ディープ・デモクラシー』とは、その「場」に起こるあらゆる声を小さな声であっても公平に大切にする態度であり、人間は「聞きたいように聞く」特性があることから、これ1つとっても、かなりのトレーニングが必要なスキルであると言えます。

photo-02まず最初のワークでは、2人1組になって7つのスキルのうちのどれか1つに着目してコーチング・セッションを行いました。短い時間ではありましたが、今までとは視点の異なるセッションが展開し大きな学びになりました。

次いで『システム・コーチング』を学ぶさまざまなワークのうちの1つ、『ランズ・ワーク』というワークを行いました。具体的には4人1組のチームを作り、まずは1人ひとりが自分の感情や思考に根ざした架空の国を創造します。その後、チームの3人がその国を訪れたと想定し、その国の背景やロケーション、人々の暮らし、運営方法など、あらゆる質問を投げかけて架空の国に投影された自分自身を明らかにしていきます。

その「架空の国訪問」を人数分繰り返した後「チーム全員の総和として1つの国を創造する」というワークで、チーム・ビルディングにかなり有効なワークという印象を持ちました。

「人間の関係性」という目に見えない『システム』を扱うがゆえに、かなり難しいスキルですが、『ダイバーシティ』という言葉に代表されるように多様性が肯定されつつある昨今、このシステム・コーチングは人と人とのより良い関係を紡ぐための重要な手法であると感じました。