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「第4回 関東4チャプター交流会」

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開会宣言をする埼玉チャプター会長・砂川邦夫コーチ

2009年2月21日~22日の日程で、関東4チャプター(埼玉チャプター茨城チャプター栃木チャプター群馬チャプター)合同企画の『関東4チャプター交流会』が、茨城県古河市の「古河市交流センター平成館」で開催されました。

4回目を迎えた今回は、メイン幹事を埼玉チャプターが、サブ幹事は茨城チャプターが務めました。

当日は4チャプターはもちろんのこと、東京都内や千葉県からもご参加いただき、最大30名を超える参加者数を記録しました。

以下、2日間のもようをレポートします。

1日目(2009/2/21)

写真を使ってクライアントの本質をさぐる

10:05am~0:00pm
埼玉チャプター会員 臼井優樹(うすいまさき)氏

ふつう、コーチングはクライアントとコーチとの会話を通じて行います。しかし会話から発せられる言葉は、時に表面的であったり断片的であったりで、本来の思考を余すところなく表現しきれない場合もあり、そうなるとコーチング・カンバセーションは機能しません。

photo-02講師の臼井氏は以前、アパレル業界のマーケティングにたずさわった経歴をお持ちで、その際に、写真やイメージ画像を用いてシミュレーションする手法を編み出しました。後に、マーケティングを補足する意図でコーチングを学び始めた際に、言葉のやりとりだけではコーチング・カンバセーションが滞る場面に出くわし、逆にマーケティング活動で身につけた写真やイメージを用いたセッションを行うと、クライアントの本質をうまく引き出せたという経験をお持ちです。

氏が得た経験から、言葉の何十倍もの情報が詰まっているイメージ画像を用いたワークを行いました。

photo-03まずは2人1組になり、クライアント役が会場の机に並べられた約100枚の写真から自分の目を引く写真を3枚選び、コーチ役からはその写真を選んだ理由や3枚の写真に共通項があるのかどうかなど、クライアントの本質に迫る質問をしていきました。

クライアント役の中には「思ってもみなかった内側の考えが出てきて驚いた」との声もあり、イメージ画像の持つ大きな力を感じました。

photo-04また後半は、臼井氏が開発にたずさわっている可視化ツール(ソフトウェア)についての紹介がありました。これは1つのテーマに沿った会話や論文、日記等を解析し、その中にちりばめられているさまざまな言葉の中で、出現度の高い単語とその単語と必ずセットで表現される単語をディスプレーに映し出すとともに、つながりのある単語を実線や点線で結んだイメージマップが表示されるツールです。これも元々はマーケティング用のツールとして開発が始められたのですが、会話の中から出現頻度の高い単語を抽出してクライアントの本質をさぐるために、コーチングのツールとしても使えるのではないか、と臼井氏。参加者からは「これからのコーチングに新しい風を吹き込む予感がして、面白かった」という声が上がりました。

参加者アンケート結果
かなり役立った やや役立った ふつう あまり役立たなかった まったく役立たなかった
13 5 2  0  0

基調講演~あなたのコーチとしての力を向上する

1:00pm~2:30pm
日本コーチ協会理事 平野圭子氏

photo-05毎年、基調講演では平野コーチを招聘しており、コーチングの新しいトレンドを語っていただいています。今回はコーチング・カンバセーションを取り上げ、コーチの質問力を磨くための一つの問いかけをしていただきました。

それは、「人にフォーカスしているか?」というもの。

photo-06コーチング・セッションの中では、クライアントのテーマに沿って、コーチング・カンバセーションが交わされますが、その場面ではクライアント自身や周囲に起こっている事象を客観的に扱うだけで終始してしまいがちです。しかしクライアントも人間。テーマから離れたところでも日々の生活が続いており、その日常の何気ない行動にクライアントの価値やニーズが隠されているものです。単に事象を扱っているだけではクライアントの本質が見えないまま、遠回りのコーチングが進んでいく懸念があります。

実際に4人1組になって、事象と人、それぞれに意識したコーチング・セッションを断続的に行い、人にフォーカスすることでコーチの質問内容が変わったことを参加者一同、確認しました。

参加者アンケート結果
かなり役立った やや役立った ふつう あまり役立たなかった まったく役立たなかった
17 5  0 1  0

埼玉チャプターPresents ワークショップ

2:40pm-5:00pm
埼玉チャプター会長/コーチ・トゥエンティワン CTPクラスコーチ 砂川邦夫氏
コーチ・トゥエンティワン CTPクラスコーチ 君塚由佳氏

photo-07武道やスポーツの世界では、さらにステップアップするとき、あるいはスランプに陥ったときには『基本に立ち返る』というセオリーがあります。基本の技やスキルを徹底的に磨くことによって、新しい技を会得したりパフォーマンスが向上したりするわけで、これはコーチングの世界でも同様です。

そういうわけで、このワークショップではコーチング・スキルの基本に立ち返り、『フィードバック』を扱いました。

photo-08フィードバックの定義をおさらいした後、さっそく2人組、3人組、4人組と組み合わせを変え、ショート・コーチングを重ねるとともに、オブザーバーがフィードバッカーとなってコーチ役にフィードバックをする、というワークを繰り返しました。

photo-09フィードバックはどうしても「相手を評価する」ことに終始してしまいがちですが、本来のフィードバックは「コーチに新たな課題を見せる」ことであり、勇気を出して客観的なフィードバックをするのは意外に抵抗感があります。そして的確なフィードバックを行うためには、一番重要な「聴く」スキルを持つ必要もあります。

参加者からは「ほんの少しの変化に気を遣うことの大切さを学んだ」「ワークを通して、きちんと人を観察することを思い出した」との声が相次ぎ、学びの多いワークショップとなりました。

参加者アンケート結果
かなり役立った やや役立った ふつう あまり役立たなかった まったく役立たなかった
18 5  0 1  0

懇親会

6:00pm-8:00pm

photo-10泊まりがけの交流会だからこそ、時間を気にすることなく酒食をともにできるのが醍醐味。今回は宿泊者が20名にのぼったため、とてもにぎやかな懇親会となりました。

photo-11懇親会終了後も場所を座敷に変え、夜の更けるのも忘れて、笑い声の絶えない楽しい交流を深めました。

2日目(2009/2/22)

座禅とコーチング

8:45am~11:00am
講師:茨城チャプター理事・武藤義弘氏
((財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ)

photo-122日目はもう定番となった「座禅とコーチング」です。参加者の大半はリピーターで、中には「座禅があるから交流会に参加」されている人もいるくらいです。

まずはいつものように茶礼から。講師の武藤義弘氏の動作に合わせてお茶菓子をいただき、次いでお茶を口に含む動作を全員一斉に行いますが、たったこれだけの所作の中に、日本ならではの「和」の精神が埋め込まれており、周囲の空気がピンと張り詰めた感じを受けました。

photo-13続いて座禅です。

武藤講師が鐘を3回鳴らすと同時に全員が一斉に合掌し、座禅に入ります。座禅をしている人は目をつぶっているように見えますが、実はそうではなく、視線は前方1.5メートルほど先の地面に焦点を合わせるよう指導を受けました。これを「半眼(はんがん)」と言います。

そして順番に合掌をしながら「ピシッ」と乾いた音とともに警策を受け、思わず背筋がピンとなって居住まいを正す感覚が生まれました。

一般的に座禅をする際には「雑念を持ってはいけない」と考えがちですが、武藤講師は「座禅中に雑念が生まれることは肯定する」と言います。そして腹式呼吸で「息を吐くと同時に、その雑念を身体からはき出していくことが肝要である」との説明に、一同納得していました。

photo-14ひと渡り警策が終わると、今度は一列になって一歩ずつ移動する経行(きんひん)。前回までは室内を一周するだけでしたが、今回は趣向を変えて2回目の座禅を外で行うべく、一列になったまま部屋から廊下、エントランスへと移動し、建物を出て平成館の前にある公園へ向かいました。

photo-15公園のベンチにめいめい座り、そのまま手を組んで警策を受けます。折しも公園内にはしつらえられたスピーカーからシンセサイザーを使った宇宙的で幻想的な音楽が流れており、座禅のシチュエーションにピッタリとはまりました。めいめいがスピリチュアルな感覚で座禅を心ゆくまで味わうことができました。

photo-16室内に戻ってからは武藤講師から「現成公案(げんじょうこうあん/バランスのとれた完全行動)」の一節についての講話。参加者からは特に「心身脱落」の項にある「自己をならうというは、自己をわするるなり」(自分を知りたいのであれば、「自分が、自分が」という『我』をなくすこと)という一文が心にしみた、という感想が聞かれました。

参加者アンケート結果
かなり役立った やや役立った ふつう あまり役立たなかった まったく役立たなかった
15 3  0  0  0

振り返りとランチミーティング~第5回の交流会に向けて

11:00am~0:00pm
進行:埼玉チャプター会長・砂川邦夫氏

1日目だけの参加者も含め、各参加者にはアンケートを実施しましたが、改めて2日目の参加者を対象に、埼玉チャプター会長・砂川邦夫氏の進行のもと、今回の交流会を振り返りました。

第5回交流会は2010年2月20日

来年は2010年2月20日(土)~21日(日)の日程で行うことを決定するとともに、メイン幹事を茨城チャプターが、サブ幹事を栃木チャプターがつとめることを確認し、2日間のプログラムを無事に終えました。